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2014年2月26日 (水)

多分、嵐のような平凡な日々04

 到着すると、ユゥナ叔母様が迎えに出てくれていた。六さんが傍に付いている。六さんは鬼族で、料理の腕は絶品で、父様が好きな料理を作ってくれる料理人だ。
「早いな。ユゥナ」
「六さんに、船が見えたら知らせてとは言ってましたから」
「六。船を見張っていて料理がおろそかになっているというのは無いだろうな」
「まさか。大先生を迎えるのに、料理に手は抜けませんや」
「姜花は、もう来ているのか」
「へぇ、すでにお待ちです」
「ならば、料理は少し後にしてくれ」
「へい。了解しやした」
「それでは、こちらへどうぞ。今日は、離れをご用意させていただきました」
ユゥナ叔母様が案内で、屋敷の庭を回って、別棟になった建物に入っていく。一つの家として造られた感じの離れだ。
 部屋には、既に姜花さんが手酌で飲んでいた。襖を開けると、立ち上がって父様を迎えに自分の隣に座布団を動かして座らせる。私のことは見ていないみたいだ。私は、下座に座る。まだ、食事等は出ていない。
「ようやく来たわねセンセ」
「姜花。久しぶりだな」
「えぇ。最近は、姫様を迎えて、お見限りになったと思ったわ」
「俺ももう爺いだぞ、お前のように、綺麗な姿ではいられないさ」
「あらあら、まだまだ素敵ですよセンセ」
父様は、姜花さんにはなぜか弱い。昔、色々とあったらしい。マーヤ母様は、父様に勝てなかったけど、剣の腕は超一流で、同じ武術指南役の胡青様よりも強いとの話だ。
「すまん。今日はニィナの話で来た」
「あらあら、リィナ姉様に似てきたわねぇ。彼女を私のところに」
「あぁ、頼みたいが良いか」
「私でいいのかしら、リィナ姉様の忘れ形見でしょ」
「お前にしか頼めない。リィナが弟子にとったのはお前一人だ、リィナが選んだお前にニィナを頼みたい。よろしくお願いする」
父様は、あらためて、座布団を外して座り、姜花さんに頭を下げる。
「貴女はどうなの、ニィナ。私で良いの」
私も、あらためて、父様と同じように、座布団を外して座り、姜花さんに頭を下げる。
「父様が、信じられた方を信じます。よろしくお願いします」
「ま。良いでしょう。今日は、泊られるわけではないのですね」
「すまぬ。マーヤが待っている」
「マーヤの名前は卑怯です。お泊まりは、姫様のところなのでしょ」
「いや、今日は、お前に逢うと言ったから、姫の元には行かない」
「あらあら、相変わらず律儀なセンセですこと。今日は、私も独り寝なのですね」
「すまない・・・」父様が、再度、頭を下げる。
部屋の外に気配がする。頃合いを見計らったように、ユゥナ叔母様の声がする。
「お食事の支度ができました。お運びいたします」
六さんの食事は、美味しいはずなのだけど、あんまり味を覚えられなかった。

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