« 作図法と幾何学から得られる、新たな解析手法 | Main | 設計思想の変化と図記号の変化 その2 »

August 22, 2007

設計思想の変化と図記号の変化 その1

Teiko
 何度か、前にも記載しているのだが、新JISへの移行する中で生じている混乱のひとつは、一般的にも知られている図記号の変化である。巻き線抵抗器のイメージから、得られる図記号から、長方形の図記号に変わったのである。この図記号変化は、現在の新JIS移行で生じている混乱について、非常に象徴的な現象であると考える。また、あまり表立って気にされている技術者が少ない状況があるのも事実である。
 どう象徴的かというと、何故、旧記号を使ってはいけないか(旧記号を何故使うか)は、部品イメージを基準として説明する場合には、旧記号の方が理解しやすいからである。ここらへんが、新記号への移行に抵抗を感じる人の大多数の意見と考える。抵抗器の基本は、導線の長さあたりの抵抗成分であり、端子間の導線の長さが長くなれば、抵抗値が高くなり、短くなれば抵抗値が低くなる。これは、抵抗器の種類が変わっても何も変わらない構造上の特徴である。この構造上の特徴から、旧記号が造られているため、抵抗器を部品として考えた場合は、旧記号の方がイメージし易い記号といういうことになる。こんな記号を受け入れた批判を含めて、旧記号を意地になって使っている人もいる。
 単に一個の記号変化だけを考えれば、抵抗器については、考え方としては間違ってないし、感情的にも賛同できる部分ではある。また、新JISへの移行は、拘束力があるわけではないので、旧記号が氾濫しているのは事実である。ただし、急記号が持つ意味と新記号が持っている本当の意味合いを知った上で、旧記号を使っているかというとはなはだ疑問である。

 抵抗器の図記号変化は、単に図記号を変換すればすむという問題では実はない。変化したのは、回路に対する考え方(思想)そのものの変化である。特に新JISの抵抗器は、負荷という意味合いを強く含み、単なる抵抗器という部品を示しているだけではなくなっているのである。ケータイ電話や無線LANの発達やパソコンを含めた回路の高速化によって、抵抗値は周波数特性との関係が不可欠となり、レジスタンスという考え方からインピーダンスという考え方へ移行したことに伴って、図記号の見直しがおこなわれたと考えた方が良い。こういった側面からするとようやく現実の技術的な状況に合わせて、ようやく図記号が直ったとも言えるのである。
 分布定数についての基礎知識が、技術屋さんの基礎知識になりつつある電子回路や組込システムの現状と考えれば、抵抗器の記号は、旧JIS表記ではなく、新JIS表記でおこなうことがより素子の雰囲気となる。つまり、高周波回路でインピーダンスマッチング用の負荷として、図記号に50Ωと回路図に描いてある場合、50Ωの抵抗器を買ってきて入れれば済むというのではなくて、流れる信号の周波数帯域で50Ωのインピーダンス抵抗値を持つ素子を入れる必要があるという意味になる。これが、回路図に記載する思想変化であり、技術者が知っていなければならない知識と技術の変化ということになる。
 こういった意味合いを知っていてかつ、旧JIS記号を使われる技術者の場合は、それほど大きな問題とはならない。しかしながら、こういった意味合いを知らずに旧JIS記号を使うことは、非常に危険な意味合いを持つことになる。

« 作図法と幾何学から得られる、新たな解析手法 | Main | 設計思想の変化と図記号の変化 その2 »

Comments

Post a comment

Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.

(Not displayed with comment.)

TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 設計思想の変化と図記号の変化 その1:

« 作図法と幾何学から得られる、新たな解析手法 | Main | 設計思想の変化と図記号の変化 その2 »

May 2021
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

Recent Trackbacks

Categories

  • つぶやき
  • コラム
  • スポーツ
  • トピック
  • ニュース
  • パソコン・インターネット
  • 日記・コラム・つぶやき
  • 書籍・雑誌
無料ブログはココログ