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June 06, 2008

周期測定から解析に向けて

 波形の記録や書き込みは、波形ファイルIOで実行できます。
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 確認してみるとわかりますが、ノイズが多い波形データの場合、FFT解析をおこなうと、測定時間の逆数で解析結果が大きくでることがあります。これは、フーリエ変換の基本的な数式が持つ意味を理解していると、実際の信号には無いであろうノイズであると判断できます。
 科学のタマゴで使われている、エアモータの圧力変動を実測していますから、信号が安定はしていません。また空気圧は減圧弁で調整し、流量制御弁を使ってもいますが、圧変動が大きなエアモータの場合は、流量が安定しませんので、圧変動も安定しないということになります。
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 こういった状況でFFTの解析をおこなう場合は、サンプリング周波数および測定時間をきちんと把握し、FFT解析上測定時間の逆数以下および、サンプリング周波数の1/2以上は、解析結果から除外する必要があります。測定をおこなわれているエンジニアの方々は、サンプリング周波数の1/2以上は自動的に削除されて表示されたりしていますので、自然と気づきますが、自分で設定をおこなう測定時間の逆数は、忘れている例を多く見かけます。
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 また、解析精度を必要とされる場合は、測定時間の逆数の10倍から、サンプリング周波数の1/2の1/10までで解析をおこなうことをお薦めします。本稿の場合ですと、測定時間が1秒間なので下限が10Hz、サンプリング周波数が1kHzなので上限が50Hzとなります。この範囲を変更しようとする場合は、測定時間およびサンプリング周波数を変更するか、多少は演算処理が甘くなることを承知の上で、範囲を広げる必要があります。
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 前にも描いたような気がしますが、単純に数式を覚えるのではなく、数式がでてきた場合には、数式の意味を覚えるというのが重要ではないかなと考えています。フーリエ変換の基本式は、波形を時間の始まりから終焉まですべてを積分範囲としています。つまりは時間軸上-無限大から+無限大までです。しかしながら、実務上はこのような計測ができません。必ず測定時間は、ある特定の時間となります。結果として、測定時間がFFTの解析結果に影響を与えることとなります。
 こういった解析に関する暗黙知は、暗黙知ではなくノウハウになってたりするみたいで、あんまし知られていないように思います。エンジニアさんに話すと、「そんなことは知ってますよ」と言われますが、実際のエンジニアさんからの報告書を見ると、間違っていることがあったりします。
 LabVIEWのような関数型言語を使用したり、C++を含め最近のオブジェクト指向言語のように、ライブラリの中身がわからない状態で利用しているユーザーは、簡易にこういった計算をすることが可能ですが、使用する関数やライブラリの式がどのような原理や理論で構築されているかを理解していないと、結構、とんでも結果が出てきても気づかずに使っている例が見受けられます。学術関連の方々は、特にお気をつけください。学生さんは、エンジニアさんと違って、暗黙知を既知と知っていて報告書を間違うのではなく、暗黙知そのものが既知ではなくて、間違ってしまいます。でもって、指導教官は、既知であるにも関わらず、暗黙知を見落としてしまうことが多いのです。

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Comments

最近の記事の周期測定についてですが、大変参考になりました。
フィルタをかけてから、FFT解析が一番無難そうですね。

フィルタについては、入力信号に影響を及ぼさないレベルでかけたいのですが、目安はどれくらいかご存知ですか?

というのは、今はモータの線間電圧や線電流をデータ収録して、周期、実効値、電力などを計算するプログラムを作成しているのですが、電力変換器としてPWMインバータを使用しているので、出力電圧の周波数が0~200Hzでも、実際は数kHz~数10kHzのスッチング周期をもった波形を端子に印加していて、欲しいのは0~200Hzでも、インバータのスイッチング周波数のことを考えるともっと高めにフィルタ周波数を設定しなければならないのかと悩んでいるのです。

NIがsignal express でモータ評価用のviを作ってくれてればこんなことで悩まなくて良いのに…ブツブツ。

 PWMタイプのインバータであれば,周期固定になるかと思いますので、スイッチングの周期を測定(30kHz~50kHzくらいだと思います)して、LPFのフィルタを設定するのがいいのではないでしょうか?
 ACモータの電力計測を必要とする場合は、信号の位相特性が線形である必要があると思いますので、バターワースフィルターを使うのがいいかと思います。(理由については、電力三角形について確認してください)遮断周波数は、2kHzぐらいであれば、信号の200Hz以下なので、信号に歪が生じることはないかと思います。
 ただし、インバータ信号には、非常に多くのノイズが非常に大きな信号でのっかってきます。バターワースの次数をあげて、フィルタの特性を強くして、数百Hzくらいまで遮断周波数を下げる必要があるかも知れません。

丁寧な回答ありがとうございます。
でも通常業務が忙しくてまだ検討してないです。

数百Hzというのは、予想通りな答えです。
というのはYOKOGAWAの電力測定器のラインフィルタ周波数の選択は500Hz、20KHz、2MHzの3パターンぐらいしかなくて、500Hzでないとまともに波形が測定できなかったと記憶しています。しかし、500Hzだと仮に電圧の基本波周波数を100Hzとすると第5調波がぎりぎり測定できる程度だから、モータ自体の空間高調波成分に起因する電力損失をも含んだ電力測定ができない可能性があります。悩ましいところです。ノイズが気にならないぎりぎりのところを試行錯誤で見つけてみようと思います。

nariです
 ノイズについては、実機での対応をせざるを得ない部分がありますので大変だと思いますが、頑張ってください。

成田様

お世話になります。
いよいよ電力測定器の開発に本格的に取り掛かれるようになりました。
Labview上で電圧、daqデバイスで収録した電圧、電流測定値から、電力を演算するVIを作成するのが目標です。

ここで、非常に悩んでいる疑問があります。
電圧測定器や電流測定器は、測定した時点で信号の遅れ(位相の遅れ)が必ずあります。
電圧測定手段にアイソレーションアンプなどを入れていればなおさらだと思います。
また、サンプリング時に隣のchから10μ秒程度の遅れをもつデバイスもあります。
さらに、先日教えていただいた、フィルタ通過後による位相遅れもあります。

こういう状況で、電圧×電流のかけ算で電力を測定すると、力率が真値から変化してしまい、何が真値なのかわからないと思います。
そこで、こういう測定時の力率誤差を補正する方法を勉強したい思います。方法を記した書物などはありますでしょうか?
測定器の規格や、測定器自体の評価方法、校正など初歩的なことが載っている本で勉強したいと思っています。
お手数をおかけしますが、ぜひ教えていただきたいと思いますよろしくお願いいたします。

ちなみに、現在計測関係で所持している本は、「図解Labviewデータ収録プログラミング(森北出版)」、「計測と信号処理(コロナ社)」、「電気・電子計測代[2版](森北出版)」、「ディジタル信号処理(実教出版)」です。最初の本は役に立ってますが、電力計測は行っていないので、私の疑問の答えは載っていません。

 瞬時電力の演算処理についてですが、50Hzの通常の家庭用電力信号の場合、周期は20[msec]となります。サンプリングが1kHzである場合は、1[msec]であり、ポーリングでchデータの取得に10μsecのズレが生じたとしても、演算処理上の誤差は少ないものと考えて良いかと思います。
 ただし、インバータ制御系の場合は、スイッチングの周期が30kHz~50kHzであり、制御信号の変化量を演算処理する場合には、演算処理上の誤差は無視できなくなります。
 まずは、測定時に実時間からのズレがどの程度生じるかを確認することが必要となります。
 実時間からのズレが、演算処理上に問題があるようであれば、測定データをズレに合わせてオフセットをおこなうことで位相を合わせてから演算処理をおこないます。また、測定サンプル数は、ズレの時間分多く計測する必要があります。50kHzのインバータ制御であれば、サンプリング周期が100kHz以上となり、100kHzでサンプリングしている条件下で、実時間からのズレが10μsecで生じるとすれば、1個サンプル数を増やして、ズレの分をチャンネルデータから戦闘データを削除することで演算処理を行うと、実時間とのズレを減らすことができます。
 実時間からのズレについては、計測機によっても異なることと、通信信号で処理するような場合は、把握できないこともあります。この場合は、計測システムそのものを見直して、計測時のズレを確認できるように、計測システムを再構築する必要があります。

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