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January 06, 2009

保全の基礎 その1

 そろそろ、保全の技能検定試験の季節である。
 振動法による設備診断のお話を以前にさせていただいた。<振動法による設備診断>http://sugc.cocolog-nifty.com/labview/2008/05/post_b1be.html
 今回からは、保全そのものの基礎的なお話である。技術的な保全の基礎については、豊田利夫先生と井上紀良先生の本を参考にして描いております。

 生産設備を含め、物理的な設備には、始まりがあって終りがある。設備全体の始まりから終わりまでを設備のライフサイクルという言い方をする。工場や生産設備には、計画・開発>設計・製作>設置・調整>維持・改善>保全・管理>棄却という流れがある。
 計画・開発段階で、保全・管理に関する技術標準の策定にはいり、設計・製作および設置・調整で検討をおこなって技術標準を完成させる。完成された技術標準に基づいて、保全計画を策定し、点検整備や設備診断をおこなっていくというのが、保全の教科書的な回答であるが、現在の生産ラインは、ラインの変更や改善作業が頻繁に行われることや、生産計画が期限のギリギリで変更や調整を受けるため、実際の現場で行われる保全計画は、設置された生産設備に対して技術標準を策定して実施するケースが多くみられる。ま、つまりは後付けということである。

 現状では、保全部門にかかっている負担は、かなり大きくなっている。最近の傾向として、保全やカスタマーエンジニアリングを子会社化や外注、アウトソーシングする傾向も多いところから、開発側と保全側の乖離し、技術標準が個別に存在するケースもあるため、より深刻な状況が生じているケースもあるようである。一例として、開発時の設備と、改善等が加えられた現場設備が異なり、開発側の技術標準と現場サイドの技術標準との乖離が発生し、開発側の技術標準が使えないケース。
また、開発側の契約条件にもよるが、開発技術者と現場技術者との間に連携がとれていないケースも多いことと開発側の技術者の信頼や保全側の技術者の信頼といった壁もあって、技術標準の策定をきちんとされずに納入されるケースも多い。さらに、運営と保全の担当会社が異なるケースも多く、保全の担当側が持つ権限の低いために、きちんとした保全対応ができないケースもある。つまり保全は、負担と結果責任が増加している割に、権限や利益といった待遇面でないがしろにされていることが多い。
 本来であれば、現在の国際状況の中では、技術標準に対する考え方からすると、保全は花形であり、生産設備の開発や設置が利益の柱なのではなく、維持管理が主たる利益業務になりつつある保全は、もう少し脚光を浴びてもいいかとも思うのだが、保全担当者の控えめな性質と、いぶし銀の魅力から、あまり脚光を浴びるビジネスとはなっていない。また、保全部門を赤字を削減することにしか興味の無い経営陣も多く、黒字にすべき業務であるにも関わらず、お荷物扱いすることも多い。そろそろ、経営陣も目の前の数字を追っかける、間の抜けた考え方から、本当の意味でのトータル利潤を考える時期なのではないかと思う。
 ま、愚痴こみの記事になってしまったところもあるが、現状の保全という要素技術がおかれている社会的な状況は以上である。

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