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January 07, 2009

保全の基礎  その5

 保全計画策定について
 保全計画は、まず、法律上必要とされる項目をベースとする。通常、法律上で点検を要する機器は、TBMで対応する必要があり、かならずメンテナンス時期が決まってくるし、コストが必要となるため、保全実務上は、まずTBMの対象機器を基準として、定期点検項目を策定していく。また、CBMの結果による修理計画についても、できる限りTBMの時期に合わせるように実施することで、一般的にコスト削減が可能となる。
 つまり、保全計画および日常点検業務そのものは、TBMを基準として実施していくことになります。
 また、システム設計技術者は、TBMの時期について明確に技術標準を策定しておく必要があります。保全計画は、設計技術者の指定による技術標準に従って、保全計画を策定していきます。技術基準に定められていない場合、一般にはBMでの対応となりますが、保全技術者は、TBMの時期が明確化されていないが、技術標準に掲載する必要があると考えられる部品やシステムについては、設計・開発技術者に確認の上で承認させて、点検時期を明確化する必要があります。大規模なシステムの場合、これを怠ると、大惨事を引き起こし、何人もの技術者の命を奪ってしまうことがあります。
 TBMの時期は、CBMによる時期がくるんじゃないかなぁと推定される時期や保全対象機器を停止させても会社の利潤に問題が出にくい時期を基準として決定する必要がある。これは、保全対象機器によって異なることが多い。日本の場合は、1年の季節変化が大きく、温度、湿度の年間変動幅も大きいため、保全対象機器によっては、季節時期を選ぶ必要がある。一例としては、計装空気を供給するためのエア・コンプレッサーは、湿度の影響を受けやすいため、高湿度になる梅雨の前後に保全時期を選定しておいた方が良かったりする。特に生産ライン全体で、計装空気の配管の水抜き作業等を計画する場合は、湿度について考慮する必要がある。機器が持っている特徴や意味についての技術・知識が必要となるのは、こういった温度や湿度に対する対応が必要なためである。機械関連の技術者であれば、エア・コンプレッサーが湿度の影響を受ける理由について、きちんと説明できるようになっているハズ?
 CBMが必要となる保全対象は、稼働時間や回数にバラツキが大きく、故障時に二次被害が予想される装置である。稼働時間のばらつきが少なければ、TBMで対処可能なことも多いので、策定する場合は、二次被害規模の推定と稼働時間の推定が重要なチェック項目となる。物理的な駆動機器は、装置の技術資料には10万時間以上とか10万回以上と描かれていたりするので、装置の稼働時間や稼働回数から大雑把な保全時期については、推定をしておくと良い。1日100回稼動する装置で、10万回稼動するのは、1000日となるので、2年半でTBMの対象とするということになるが、二次被害が生じない装置であれば、BMで問題なく、二次被害の規模が大きい場合は、2年ないし3年のTBMで対応するか、CBMの対象とします。

 最近、メンテナンスフリーという言葉が出てきていますが、これはメンテナンスをしなくて良いということではなく、メンテナンスできませんのでBMで対応してくださいという意味です。つまりは、メンテナンスフリーの製品を部品で使用したり、ラインに組み込む場合は、故障が発生した場合に二次被害が生じないように設計・開発する必要があります。生産ライン上にメンテナンスフリーの製品が使われていて、二次被害が大きいと推定されるような場合は、技術基準の改定とCBM装置の設置が必要となります。
 本来的には、技術基準の策定後に保全計画の策定となりますが、どうも、保全計画の策定から技術基準の策定になっていくというのが実情としてあります。KAIZENが英語になってしまうくらいになったのは、日本の技術基準が、開発陣によって定められたものよりも、製造および保全からノウハウとして蓄積されていったために起きた現象です。大規模なシステムでは、設計・開発上で保全時期が決められておらず、保全担当技術者が気づいて、保全計画を立てた時には手遅れとなり、多数の犠牲者が出てしまった事故もあります。私が、時折、記事の中で日本は人柱の国だという表現をすることがありますが、本当に人柱になってしまった人達もいるということ、これからもそういうことが起きる可能性があるということを自覚し、自分が人柱にならないためにも、他人を人柱にしないためにも、技術屋は自分の中で必ず無形の技術標準を形成していく必要があります。自分が形成した技術標準を変更することは構いませんが、裏切ってはいけません。技術屋が自分の中に持っている無形の技術標準が、技術屋の倫理基準です。
「泣こうがわめこうが死のうが、人柱を作ったら責任はとれんぞ!」ここのところ、この言葉を言わなければならなくなったことが、非常に悲しいですねぇ・・・(ノ_≦。)

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