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January 06, 2009

保全の基礎 その2

 保全は、対象となるシステムや設備の技術標準を使って、設備の点検・整備から修理・改善といった作業を実施し、修理・改善内容によって技術標準の改定を検討する。これが、ひとつの流れとなっている。この作業は、様々な手段や方法があるため、ここ全体を述べることは行き過ぎのの側面もあり、保全実務から乖離するので、本稿では詳細は省く。
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 しかしながら、品質管理や生産管理といった内容を含め、総合的な保全としては、「The Goal」なども参考とすべきである。保全の流れそのものは、オペレーション作業となるが、改善提案や技術標準の改定は、一個のプロジェクトの形態であり、「PMBOOK」なんかも参考にすべきである。このあたりについては、技能検定の範囲ではなくなるが、グループリーダ、管理マネージャー、統括部長、工場長や技術コンサルタント、フェローといった立場を目指す技術屋さんとしては、また、そういった立場の人間から搾取されないためには、覚えておくべき基礎知識である。今後は、単純な現場作業者であっても、自己啓発をしておくべき内容である。保全の検定を突破された後は、こういった書籍を一読することをお勧めする。

 保全の目的は、適切なシステムの維持管理改善であり、更新や新規設備への提案事項となり、総合的な意味合いでの企業利益の確保である。同種作業として、最近、非常に企業の負荷となっているのが、販売した製品の維持・管理である。PL法の施行と、安全衛生の範囲の拡大から、製造業にとっては、工場設備だけでなく、販売した自社製品のライフサイクルに対しても責任を有することとなる。つまりは、販売した製品が廃棄されるまで、製造したメーカーが一定の責任を有する。結果として、開発者も設計者も、売れば終わりという状況にはならない、最終的に地球上に存在してから、自分がかかわった状態が存在しなくなるまでが責任対象であり、技術者の倫理対象となる。この状況の中で、対象に対して長期間関わるのが、対象の保全担当者ということになる。
 企業利益をあげることが企業最大の本義とすれば、企業利益を遂行するにあたって、もっともコストがかかりやすく、リスクが生じやすく、忘れやすい、数値に評価し難い、企業利益のボトルネックを為す部分が、システムのライフサイクル全体に対する保全活動ということになる。

 保全業務全体は、維持活動と改善活動に大別される。
 システムの維持活動は、事後保全[Breakdown Maintenance]と予防保全[Preventive Maintenance]に大別される。
事後保全[Breakdown Maintenance]
 設備保全というと、調子が悪くなってから業者に連絡して、修理・改善をおこなう、事後保全という手法が一般的に使われている。この手法は、設備が修理・改善期間中に使用できなくなるという欠点はあるが、複数台設置されている場合や、時間的に短期間・低コストで済む場合は、事後保全でさしたる問題は生じない。
予防保全[Preventive Maintenance]
 予防保全の手法としては、定期点検による時間基準型保全[Time Based Maintenance]、状態量に基づいた基準によって、予知予防をおこなう、状態基準型保全[Condition Based Maintenance]の二種類に大別される。事後保全では、二次被害が生じる場合は、この二種類のどちらかを使うことになるため、設備保全の場合は、たいていは両方を併用して保全実務を行うことが多い。

 予防保全は、うまくいけばコスト削減やシステムの安定運用に繋がるが、たいがいは金食い虫になる。特に事後保全で構わない範囲まで、予防保全で行う場合は、非常に高コストになりやすいので確認しておくことが必要である。ただ、予防保全には、法的に定められた保全項目もあるので、法律上の制約について調査・確認する必要がある。
 設計・開発陣は、短期的なコスト意識から安易に法律上の制約の無い設備にしたがるが、総合的な企業利益という目的からすれば、法律上の制約が無い場合は、技術標準を自分で作らなければならず、技術標準を作る手間を惜しんだ場合のリスクを背負う覚悟が必要となる。保全屋は、自社設備導入を決定した連中に責任があるとして逃げた方が良い。実際には、そうなかなか逃げれる状況にはならないことからも、保全屋は担当するシステムに対して、きちんと技術基準をドキュメントとして確保し、内容を確認する必要がある。これは、技術基準書の不備によって、事故が生じた場合、責任範囲内に自分を置かないための知恵となる。ただ、倫理的には、技術基準書の不備に気付いていたのであれば、指摘しなければ技術屋としての資質を問われる。また、時には自分自身の命にかかわることがある。

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