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January 08, 2009

保全の基礎  その6


 点検、修理と性能
 技術基準に基づいて、点検や修理をおこなっていく。その5で掲載したように、日常点検および定期点検をオペレーションとして実施し、点検結果を技術基準に照らし合わせて評価をおこない、必要な状況となった場合、修理プロジェクトないしは廃棄プロジェクトを実行していく。
 この場合、実務上の課題となるのは、修理プロジェクトのタイミングである。BM,TBM,CBMの選択が適切に行われていれば、修理プロジェクトのコストを抑えることができるが、適切に行われていなければ、修理プロジェクトないしは廃棄プロジェクトのコストは非常に大きなものとなることがある。特に突発事故に対するBMは、場合によって火災やメルトダウンといった致命的な事故を発生させてしまった場合、修理および廃棄プロジェクトにかかるコストは莫大なものとなり、会社経営や環境そのものを破たんさせかねない。日本国内では、1988年くらいから対策をとっていたハズのアスベスト被害、六本木ヒルズ回転扉の死亡事故、マンションのエレベータ死亡事故などが例としてあげられる。

 点検における調査項目を技術基準に設定するためには、機器や部品の寿命についての基準を設定する必要がある。
 最近は、非常にこの耐用寿命期間の設定が困難なものが増加している。特に、半導体関連機器のように耐用期間の長いモノや、ソフトウェアのように耐用期間を人為的に決定しなければならないモノが、課題としてあがってくる。特にシステム制御をおこなっているソフトウェアについては、耐用期間が決定されていなかったために、2000年問題を招いたことを想起してもらいたい。現状の技術基準の中で、継続的に影響が出てくるソフトウェアの耐用期間問題で困難なものには、仕様OSの耐用寿命もあげられる。場合によっては、通信システムに用いられるプロトコルや、国際基準で決定される、うるう秒の影響を受ける可能性もあり、技術基準に影響することがある。

 システムは、個々の部品寿命を含めて、平均故障間隔時間[MTBF:Mean Time Between Failure]とバラツキを評価・決定する必要があります。これは、設計・開発の段階で算出されるべきものである。しかしながら、実際の機器や装置、部品について、MTBFが算出されていないことが多く、別次元の要素(リース期間や保証期間)で決定されているものが増えているのも事実である。これは、機器装置のMTBFについて、製造メーカーの開発者自身が、算出できなくなっていることを示している。
 技術基準を策定するためには、なんらかの形でMTBFを定める必要がある。このため、各メーカでは、使用機器に関しての耐用期間を決定するためのMTBFに関するデータを、ノウハウとして蓄積している。MTBFに関するデータベース策定は、技術基準の根幹でもあるが、MTBFの資料を持たず、別次元の要素だけで策定している企業も存在する。
 ひとつの企業で、対応していた時代から、別々の企業で対応する時代になりつつあります。これは、製品についても同様であり、自社で製品に使っている部品をすべて内製している企業はほとんどなくなりました。結果として、部品単位でMTBFを考慮することが非常に困難になっている状況もあります。特に、メンテナンスや保全部門を子会社化やアウトソーシングした企業の場合、開発、製造、保全が別企業で実施している状況があります。こういった状況下で、システム内に含有されているすべての要素(機器、装置、部品、ソフト)について総括した形での技術標準を策定することが、困難というか不可能になりつつあるのも事情として理解はできます。
 ただ、それぞれの担当技術者は、他社の担当分野であったとしても、技術標準そのものは暗黙知の範囲になりますが、できる限り形式知での対応が望まれる状況になります。これは、特に実際に製品や設備、クライアントに対して、直接対応を行う必要がある製造やサービス、保全といった部分を担当する技術者に加わる負荷となっているのは事実のようです。

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