今は昔で、シンク&ソース
今は昔となりにけり。
そんなお話が増えてきたように思います。
もう二十年以上、企業さんにセミナーを実施していて感じたことは、基本的な知識が無いままに、現場に放り込まれてしまう技術者が非常に増えているようです。研修とかで、一回聞いたかな?くらいで、現場に放り込まれて、わけも判らないまま、作業として業務をおこなって、三年、五年、十年と過ごしている技術者が増加していると言うのが、現場の実情なのかも知れません。
「シンクとソース」
セミナーで、この言葉を説明する場合、「電流の向き、端子の接続という考え方だけを理解すれば良い」ということになります。中の回路構造など、確かに、技術者がその場の仕事を行うのには、何の役にも立ちませんし、知っておく必要の無いことなのでしょう。
「原理」へ立ち返る時に、「電流の向き、端子の接続」を「シンクとソース」で説明することと、「(電流を)吸い込み、(電流を)吐き出し」で説明することの違いがあるわけではありません。何故シンクと呼ぶのか、何故ソースと呼ぶのかの説明をせずに、使うことはかなり危険なのだと思います。
現在のPLCでは、入力側の端子台に、コモンではなく、S/Sと記載されていたりします。
S/Sは、シンクorソースの略として記載されていますが、この書き方では、端子台を見ただけでは、電流が吐き出されるのか、吸い込まれるのかが判断できません。
これはコモン端子であった時代と何も変わっていないのです。
今回の記事で、PNP、NPNのトランジスタを記述としては書いていますが、どう動くからこのような回路になるという記述をしていません。多分、記事を読む段階では、回路構造の記述は、時期的に早いと判断しています。
電子回路の図記号についても同じです。描いてはみたものの、これだけでは理解できないだろうと感じますが、これ以上描いても、蛇足に蛇足を重ねているようなものなのだろうと認識しています。
つまりは、前提の知識を知らないのであれば、説明に意味は無いということになります。
結果的には「シンク/ソース」でいいじゃん。ということになります。
日本の技術者が、おそらくは、基礎知識から含めて現場力が高かった時代というのは、既に伝説の彼方に消えているのかも知れませんねぇ。
技術 日本の製造業では、オイルショック、バブル崩壊、リーマンショックという時期に、技術者の採用ができない時期があったりして、各企業では技術者の世代間隔が開いて、上手くいかなくなっているところがあります。特に先輩技術者が、就職氷河期の世代だったりすると、人によっては神様のような能力になっていたり、器用貧乏の典型みたいにその場やっつけ仕事を繰り返していたりして、どちらも後輩に技術指導することが難しい状況にもなっているようです。片方は忙しく、片方は原理を知らなくて・・・
<過去記事:シンクとソース>
http://sugc.cocolog-nifty.com/labview/2018/08/post-8e36.htm
技術l伝承の難しさというのは、非常に厄介なのかも知れません。
私もお爺ぃと呼ばれる年齢になり、怒涛のような器用貧乏を繰り返すことで、ゴミ箱へと最終的には捨てられていく技術者の一人ではありますが、伝えるということの難しさが、年々加速しているように感じます。相手の人数が増えれば増えるほどに、難しくなっていくように感じます。
お爺ぃとしては、「シンク/ソース」を教えていて、時代は遠くなりにけりと感じる世代の人間ですねぇ。
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