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「リュウジィの夏」 by Nari

 リュウジィが辿り着いたヒロシマ。アメリアが放った核の炎でたくさんの人が亡くなった街。リュウジィにとっては、悲しい思い出の詰まった町です。
リュウジィはアメリアの職業軍人が持っている認識票を2つ胸に下げています。ひとつはリュウジィので、もうひとつはリュウジィの戦友だったヒロジィのものです。本当は、ヒロジィの親族に渡すハズの認識票は、今もリュウジィの胸で眠っています・・・
 かつて、リュウジィと一緒にアメリアに移民をしていたヒロジィは、リュウジィやヤマジィと一緒にアメリアの職業軍人として、第二次世界大戦に参加しました。一緒に移民をしていた親族を人質にとられたリュウジィやヒロジィ達は大戦の間、闘って戦って戦い抜いて、何人も何人も親族を失いながら戦い続けたのです。彼らは、ニッテイジィさんとの戦闘にも参加しています。
・・・・・
或るユーロ内での戦場にて
「なぁ、リュウ」
「どうしたヒロ」
「ん、もし俺が死んだら・・・」
「何を言いだすんだヒロ」
「いや、もしもだよ」
「ヒロ!」
「聞け!リュウ!」
その日の戦闘は、凄まじい激戦でした前日の戦闘で、ヒロジィやリュウジィの親族は100人以上の死者をだしながら、敵の砦を突破したのです。明日の戦闘では、敵中に孤立した大隊残存兵を救出するため、ナッチ会に向かって突撃を命じられています。向こうも、ゲルマンジィが率いる国防職業軍人達が主力だったりしますし、かれらも自分達の町を守るために、必死の戦いを続けています。また、武器とかは彼らの方が優秀だったりします。リュウジィ達は、補給もままならない状況で、大隊残存兵の救出を命じられています。
ヒロジィの迫力に、リュウジィが押し黙ってしまいます。ヒロジィは、認識票を見せながら言い継ぎます。
「これをさ、ニホンに残した家族に届けてくれ」
「ヒロ・・・」
「ニホンに残してきた家族だ。親父やお袋がまだ居るんだ」
「わかった。でもなヒロ」
「ん」
「おれが死んだら、お前が俺の認識票を届けてくれるか」
「あぁ、届けてやる」
「頼んだぜ」
時を待っていたかのように、ヤマジィの支援砲火が撃ちあがります。突撃開始の合図です。 これに応じて、ゲルマンジィ とマカロニジィの反撃砲火が近くで弾けます。
「おぉ。そろそろ行くか」
「あぁ、行くか」
突撃開始! ヒロジィとリュウジィに率いられた日系歩兵は、戦場を駆け抜けます。ゲルマンジィの効力射が、容赦無く親族を肉の破片に引き裂いていきます。まだ、少し砲火の精度が悪く、効力射が少ないマカロニジィの部隊を叩きながら突破をはかります。
確かに戦闘には勝利し、目的である大隊残存兵救出には成功しました。救出できたアメリア兵211名。リュウジィ達が失った親族800名・・・戦場における冷たい現実がそこに横たわっています。リュウジィやヤマジィは生き残ったのですが、ヒロジィは撤退を支援するゲルマンジィの砲火に、顔半分を吹き飛ばされて亡くなりました。
・・・・・
そして暑い夏の日
ヒロジィの認識票は、届ける先を失ったのです・・・

 ども、Nariです。昔々(記録では、2002年8月6日となっていました)に描いた色んな人と連作?した、短編小説の一遍を加筆訂正したものです。
 「夏が来ると思い出すシリーズ」の一遍です。といっても、そんなに描いてないような気がするけどね。(^^A;;;アメリア日系2世部隊による突撃は、当時のアーリアやマカロニにとっても、恐怖だったようです。収容所に収監された家族を守るため、逃げることもできず、前に進んで相手を倒せれば家族が助かる、そんな彼らは逃げることが許されない戦いでした。少なくとも負けた戦闘で生きていることは認められなかったと言われています。イオウジマの戦場では、映画でも記録映像でも描かれていませんでしたが、ニッテイとの直接戦闘も発生したそうです。 ソースとしては、日系二世部隊の所属は、オキナワ、ヒロシマ、ヤマグチ、の出身者が多いとの話から創りました。ほとんどは創作なので、こまかなソースは探していただけると幸いです。当時の移民事情からみても、大きな間違いはないかと思います。
 ”郷に入りては郷に従え”居候になった家で日系の人は、この格言のままにその家を愛しその家で生きようとした移民はいなかったのでは無いでしょうか?
 よくニホン人は、愛国心が無いと言われます。それは、愛国心が無いのではなく、自分が愛する想いを、この国に住んでいる限り、愛していることを知らなくても生きていけるくらいに幸せな国が、このニホンだからでは無いでしょうか?この国に住んでいると、この国がどんなに幸せな国であるか、この国に住めることが恵まれたことであるか、知ること自体が難しいくらいに、幸せな国なのだと思います。

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